
こんにちは、さとっさんです!
家の中を見渡すと、親から譲り受けたものや、いつか子どもに引き継ぎたいものがたくさんあります。
民法では「形ある財産」をどう繋ぐかが大きなテーマですが、行政法を学んでいると、「どうしても引き継げないバトン」があることに気づかされます。
それは、行政から「あなただからこそ」と認められた特別な権利なのです。
今回は、相続されない権利である「一身専属権(いっしんせんぞくけん)」をテーマに、FPとしての資産管理の視点と、社会福祉士が大切にする「その人らしさ」への想いを交えて整理していきましょう。
1. 今日の論点
行政法における相続の考え方と、公営住宅の使用権や生活保護の受給権など、本人が亡くなることで消滅してしまう「一身専属的な権利」の境界線についてです。
2. ここがポイント(要件・効果)
行政法の世界では、民法のルールがそのまま当てはまらない場面が多くあります。
- 一身専属権(いっしんせんぞくけん): その人の属性や状況に着目して与えられた権利で、他人に譲ったり相続させたりできない権利のことです。
- 行政法と相続: 原則として、行政法上の地位や権利は、本人の死亡によって消滅し、相続の対象にはならないと捉えることができます。
具体的な中身と注意点
実務の視点で特に重要なのは、以下の2つの判例の結論です。
- 公営住宅の使用権(相続なし): 公営住宅は「住宅に困っている人」を助けるための公共の財産です。たとえ親が住んでいても、相続人がお金持ちであれば、その権利を引き継ぐことは認められません。
より支援を必要とする人に枠を空けるという、公共のバランス感覚が働いています。
- 生活保護の受給権(相続なし): 生活保護は、受給者本人の最低限度の生活を守るためのものです。
亡くなった後に、その権利を家族が引き継いでお金を受け取ることは、「本人の生活を守る」という目的から外れてしまうため、相続できないと考えるのが自然です。
3. さとっさんの深掘りメモ|専門職フィルターで読み解いてみた
この「相続できない権利」という冷たい響きのルールですが、介護現場で大切にされる「尊厳の保持(そんげんのほじ)」という視点で見つめ直すと、全く違った景色が見えてきました。
尊厳の保持とは、一人ひとりが一人の人間として尊重され、その人らしく生きることを支える考え方です。
行政法が「相続を認めない」としているのは、単なる拒絶ではなく、その支援が「他の誰でもない、あなたという個人の尊厳を守るために設計されたもの」だと捉えることができます。
FPの視点では、相続は「リスク管理」の対象ですが、社会福祉士の視点では、支援は「その人らしさ(個別化)」の結晶です。
本人が亡くなって権利が消えることは、その人が最後まで「自分だけの特別な支援」を受け、その一生を全うしたという、尊厳の保持の証であるようにも感じました。
4. 論点の核心|本試験で狙われる「実戦の視点」
試験問題を解く際、民法と行政法の知識が混ざりやすい箇所なので、以下の考え方を意識してみると良いのではないでしょうか。
- 公営住宅の二段階チェック: 「使用関係(借りている状態)」には民法や借地借家法が適用されますが、「相続」となると話は別です。
「相続に関しては行政法的な公共性が優先される」という、適用の切り替えを意識すると、初見の選択肢でも正誤を嗅ぎ分けられるようになります。
- 「一身専属」のフレーズに注目: 選択肢に「生活保護受給権」が出てきたら、反射的に「一身専属 = 相続不可」のセットを思い出しましょう。
行政法の世界では、権利が「人」にベッタリと貼り付いているイメージを持つことで試験の対策になるのではないかと感じました。
.では、この視点を踏まえて過去問を解いてみましょう!
5. 過去問で腕試し|「実戦の視点」をアウトプットしてみよう
本日のテーマに関連する過去問に挑戦してみましょう。
【R1 問題12 選択肢5】(抜粋・改変)
公営住宅の使用者が死亡した場合、その相続人が公営住宅を使用する権利を承継することは、公営住宅法の定めに照らし認められるか。
【解答・ワンポイント解説】 解答:認められない(×)
公営住宅の使用権は、受給者の個人的な事情を考慮して付与されるものであり、特段の事情がない限り、相続の対象とはなりません。
4. 論点の核心で触れた「公営住宅の二段階チェック」を思い出してください。
「借りている間のルール」は民法に近いですが、「バトンタッチ(相続)」に関しては行政法の厳しいルールが適用される、と整理しておくと迷わなくなりますよ!
※本記事に掲載している行政書士試験の試験問題は、一般財団法人行政書士試験研究センターより正式に掲載許諾(許諾番号:8行試セ発第42号)を得て公開しています。当サイトのコンテンツの無断転載・複写は固く禁じます。